赤ひげ』(あかひげ)は、1972年10月13日から1973年9月28日まで、毎週金曜20:00 - 21:00にNHK総合テレビジョンで放送されたテレビ時代劇ドラマ。

第28回文化庁芸術祭優秀賞(第19話「ひとり」)、第5回テレビ大賞優秀番組賞、第15回児童福祉文化賞を受賞した。

概要

山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を原作としたドラマ。当初の企画は、司馬遼太郎原作の『尻啖え孫市』を高橋英樹主演で撮影するものだった。ところがそれを知ったドラマ部長の川口幹夫が「大河に譲ってくれ」と懇願し、振り出しに戻った。企画の吉岡利夫は、日本医師会が往診を取りやめるという話に義憤を感じて『赤ひげ診療譚』のドラマ化を発想した。しかし、黒澤明の映画『赤ひげ』があることから危惧する声が上がり、脚本を依頼した倉本聰も最初は「俺たちがどうやるのよ」という返事だった。吉岡は「黒澤さんの『赤ひげ』は人間として完全すぎる。そんなわけはないと思う。どんな名医だって人間なんだから、もっと人間臭さがあるはずだ」と倉本を説得、主人公をそのような人物として描く方向で制作された。

あらすじ

ドラマは、長崎留学から戻った保本登が、将軍徳川吉宗の命で建てられた小石川養生所に着任するところから始まる。

養生所では、立派な赤い色をした口ひげをたくわえていたことから皆から赤ひげと呼ばれていた所長、新出去定が、江戸町奉行所の定めた規則を守らずに診療を行っていた。例えば規定の診療時間外に飛び込んで来た患者を診察したり、治療費を払えない貧しい患者からは金を取ろうとしなかった。

こうした赤ひげ流のやり方に保本は反発し、「規則ではこうなっている筈です」と声高に非難、ことごとく対立する。規則を守れと言う保本と、今までのやり方を決して変えようとはしない赤ひげ。

赤ひげに反発する保本は、「お仕着せ」と呼ばれる、養生所医師用の制服の着用を拒み、長崎で使っていた頃の自分の服で診察を続けた。

しかし、次第に赤ひげや養生所の先輩医師達、そして患者達との心の交流を通じ、医師として、そして人間として成長していった保本は、ある時からお仕着せを着用するようになる。赤ひげと対立することもなくなっていた。

保本が着任してから1年後。彼にまた長崎行きの命が下った。代わりにやって来た新人医師は、1年前の保本そっくりであった。赤ひげに反発し、規則を守れと言って譲らない新人医師。その姿を見つめる赤ひげの傍らには、お仕着せを着たまま黙って佇む保本の姿があった。

キャスト

主要人物

  • 新出去定(赤ひげ):小林桂樹
  • 保本登:あおい輝彦
  • おせん:浜木綿子
  • 冬吉:黒沢年男
  • 森半太夫:有川博
  • きぬ:仁科明子
  • 中井良庵:柳生博
  • 谷本寿安:生井健夫
  • お雪:紅景子
  • 市三:小鹿敦
  • 天野まさを:望月真理子
  • おけい:木村夏江
  • 仁吉:松村彦次郎

その他

  • 竹造:日野道夫
  • ちぐさ:北林早苗
  • 保本の父:中村伸郎
  • 浅倉喜市郎:川辺久造
  • お新:七尾伶子
  • 吉太郎:北浦昭義
  • 小川:有馬昌彦
  • とよ:山田桂子
  • 木倉又三郎:小山田宗徳

ほか

スタッフ

  • 原作:山本周五郎『赤ひげ診療譚』、『あすなろう』、『柳橋物語』、『しじみ河岸』、『人情裏長屋』、『五瓣の椿』
  • 演出:中山三雄、深町幸男、小林猛
  • 脚本:倉本聰、石堂淑朗、横光晃、杉山義法
  • 音楽:桑原研郎、渡辺岳夫

ドラマの冒頭で流れるタイトルやキャスト、スタッフ紹介の文字の背景には、滝平二郎の切り絵が使われていた。

サブタイトル

関連商品

シナリオ
  • 倉本聰コレクション14 赤ひげ(1)(理論社、1984年1月)
  • 倉本聰コレクション15 赤ひげ(2)(理論社、1984年2月)

現存VTR

当時は2インチVTRが高価だったためNHK公式で現存している映像は、第19話「ひとり」(1973年3月2日放送、文化庁芸術祭優秀賞)のみ。その後第12話「冬の宿」(1973年1月5日)が発掘され、その後の登録は出演者の仁科亜季子の父・十代目岩井半四郎が1/2オープンリールで録画した、第1話「小石川養生所」、第29話「誤診」、元歌手の視聴者からは第32話「退院」、第35話「生きがい」、第49話「一年」(1/2オープンリール、モノクロ)が提供、2016年6月には笈川哲太郎役の瑳川哲朗から第36回「朝露に消ゆ」(1973年6月29日放送、Uマチック)、倉本聰からは第32回「退院」、第47回「ひぐらし」(共にカラー)が提供された。

2017年2月5日放送の『NHKアーカイブス』では、保本登役のあおい輝彦をゲストに迎え、先述の第19話「ひとり」を放送した。

藤岡弘失踪事件

本作の保本登役のオーディションには、当時『仮面ライダー』の主役だった藤岡弘が参加し、合格していた。しかし、このことは『仮面ライダー』の制作元である東映・毎日放送にとっては事後報告となり、トラブルが発生した。そのため藤岡は、芸能界引退を宣言し、本作への出演を辞退して一時失踪していた。

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 春日太一『大河ドラマの黄金時代』NHK出版〈NHK出版新書〉、2021年2月10日。ISBN 978-4-14-088647-2。 

関連項目

  • 赤ひげ (2017年のテレビドラマ) - 2017年11月3日よりNHK BSプレミアム「BS時代劇」で放送。新出去定役は船越英一郎、保本登役は中村蒼がそれぞれ演じる。

外部リンク

  • 金曜時代劇 赤ひげ - NHK放送史
  • 山本周五郎作品を原作とした1972年TVドラマのページ - ウェイバックマシン(2002年11月6日アーカイブ分) - 個人サイト(NHKドラマ『赤ひげ』(1972年)の資料)

Images of 赤ひげ (1972年のテレビドラマ) JapaneseClass.jp

BS時代劇『赤ひげ2』 NHK BSプレミアム 毎週金曜 午後8時... ホリプロ / HoriPro Inc. Facebook

大型時代劇スペシャル 赤ひげ 映像制作会社 株式会社テレパック

赤ひげ|DMM TV

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